暁斎は虫などの小さな生き物から魚、猫、そして馬や牛、虎、ライオンなどの大型動物まで、実にさまざまな「いきもの」を描きました。日々の記録を残した『暁斎絵日記』や、自画伝『暁斎画談』を見ると、暁斎は亀に小鳥、猫や鶏、猿なども実際に飼い、写生をしていたことがわかります。暁斎は、そうした写生を繰り返しながらいきものたちの生態を記憶にとどめ、写実的な動物画はもちろんですが、いきものを主役とした戯画や諷刺画など、独自の表現世界を展開させていったのです。今回の企画展では「暁斎いきもの図鑑」と銘打ち、暁斎が写生図や戯画などに描いた多彩な「いきもの」たちをご鑑賞いただきます。
なお、第3展示室では、恒例の「第33回かえる展」を開催いたします。当館の夏の風物詩、かえる友の会会員の皆様による蛙グッズのコレクション展を併せてお楽しみいただければ幸いです。
2019年7月1日 公益財団法人河鍋暁斎記念美術館 館長 河鍋 楠美