夢二郷土美術館の創設者で初代館長を務めた松田基(もとい)の蒐集(しゅうしゅう)した作品より夢二作品の名品とあわせて「祈り」をテーマに夢二以外のコレクション作品を特別公開し、村上華岳(かがく)、棟方志功(むなかたしこう)などの作品を展示いたします。松田の信条は、「実業家として文化貢献こそが使命である」というものでした。昭和二十六(1951)年に岡山出身である竹久夢二(1884-1934)の作品に出会い、同郷の夢二作品の里帰りを念じて蒐集を始め、夢二の故郷に美術館を創設しました。本展では松田基が夢二作品の蒐集を始めるきっかけとなったコレクション第一号や代表作に加え、「祈り」をテーマにした作品もご紹介します。夢二の作品の中にも祈りに通じるモチーフを取り扱ったものが少なくありません。日本と西洋の文化が入り混じった時代に生きた夢二が描く、多様な祈りの姿もご覧ください。また特別展示では相次ぐ災害で被災された皆様に心を寄せ「祈り」をテーマに仏画や書を特別公開いたします。同時に七期目となる十一名の「こども学芸員」が選んだ夢二作品を、こどもたちの瑞々しい感性と鋭い視点から書かれた手書きの解説とともにお楽しみください。
冬の特別展示として、夢二最大の肉筆作品の屏風《一力》《こたつ》、初代館長松田基が自著の表紙にも選んだ《早春》を特別に公開いたします。
また京都府八幡に夢二が残した《花卉(かき)扇面》(個人蔵)を岡山で初公開いたします。