ヒノギャラリーでは2018年10月27日(土)より「中村功 新作展」を開催いたします。
今回の展覧会では前作に引き続き、中村が30年来取り組んでいる《意勢》シリーズの新作を発表いたします。
《意勢》とは、「意識」の「勢い」から成る作家が生みだした造語です。中村は自律した絵画とは、自身の思惑を超えたその先にあるいわば無意識下の感情、または自己の外側に潜む力が勢いを持ったときに生成されると考え、その領域を《意勢》と名付けて絵画の在処を模索し続けてきました。
最初にキャンバスへ向かうとき、少なからず作家は自らの意志で色を選び、筆を動かします。しかしある時、画面に本人の意志とは別の予期せぬ形象や色彩があらわれ、それらに反射的、感覚的な対応を繰り返していくと、いつしか主体は描く自分ではなく、画面の中の事象へと移り、描かされているという感覚になるといいます。主観はことごとく崩れ去り、画面は次第に自分の知り得ない何か大きな力によって満たされていく--その状態が《意勢》であり、自律した絵画とは、こうした自己と外界との瀬戸際にこそ存在するのではないかと中村は考えます。中村の作品に視覚的なもの以上に累々とした時間や空間の深遠を感じるのは、それが捉えようのない計り知れない領域の中で生成されているからなのかもしれません。
ヒノギャラリーでは2年ぶりの個展となります。《意勢》のさらなる展開をどうぞご高覧ください。
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