豊後竹田の岡藩に生まれた田能村竹田(たのむらちくでん 1777~1835)は、江戸時代の文化・文政期から天保期にいたる、我が国南画の隆盛期を支えた中心的画人です。その絵画は、中国文人画の正統と古典文学、漢詩への深い理解の上に、日本の風土と精神性とを美しく共鳴させ、独自の高雅・滋潤の画域に到達した最高峰の南画として高く評価されています。
大分市美術館は、竹田に親しく教えを受けた弟子、帆足杏雨(ほあしきょうう 1810~1884)の生家に伝来した、国指定重要文化財26点の竹田作品を所蔵品の核とし、平成11(1999)年に開館。以来20年にわたり、作品資料の収集、展示を通じ、「豊後南画(ぶんごなんが)」という郷土の伝統を生んだ竹田芸術の普及に努めてまいりました。
本展は当館の開館20周年記念、ならびに「国民文化祭・おおいた2018」「全国障害者芸術・文化祭おおいた大会」分野別事業として開催するものです。大分県立美術館、竹田市歴史資料館のご協力のもと、重要文化財28点と初公開作品を含む、初期から晩年までの代表作約80点、著作や書簡などの貴重な資料を紹介する特集展です。竹田の清澄な芸術を改めて見つめ、新たな魅力を発見できるまたとない機会となります。厳選された珠玉の名品の数々をぜひご堪能ください。