何もない空白に模様を施し、飾ろうとすることは、人間の本能的な欲求だといえるでしょう。連続する文様は形にリズムを与え、様々な模様や意匠は見る者の想像力を掻き立てます。とくに工芸においては、作品の世界を深め、広げる重要な要素となります。
陶磁器に目を向けると、模様は表面を飾るだけではなく、形にそって立体的に展開し、土や釉薬などの素材、焼成が引き出す質感や色彩と相互に影響し合うことで、作品に複雑な表情をもたらします。また現代においては、作り手は花鳥や古典柄など従来のスタイルを意識しつつも、描く、彫る、押す、貼るなど装飾技法を駆使し、より自由に模様表現に取り組み、多様な作品を生み出しています。
本展では、菊池コレクションより模様をキーワードに作品を選び、技法やモチーフなど、様々な視点を交えることで浮かび上がるものがたりを読み解きながら、現代陶芸の魅力をご紹介します。