ロシア・アヴァンギャルドは、20世紀初頭のロシアにおいて、絵画・音楽・演劇・建築・文学などあらゆるジャンルを貫き、新たな芸術の創造を果たした前衛芸術活動の総称です。
1910年代に勃興しロシア革命を経て、1932年の国家による統制を以って活動の停止が余儀なくされるまで20余年間に、未曾有のスケールで開花したロシア・アヴァンギャルド芸術は、近年徐々にその全貌をあらわにしつつあります。
本展では、これまで日本ではほとんど紹介されることのなかった陶磁器に照準を合わせ、カンディンスキーやマレーヴィチらの多彩な芸術家たちが国立磁器工場を主要拠点として生み出した作品約200点を紹介します。
また「ロドチェンコ・ルーム・プロジェクト」では、1925年パリ現代装飾美術・産業美術国際展に発表された〈労働者クラブのインテリア〉の家具をはじめとし、ロドチェンコによってデザインされた食器や衣服の再制作に取り組むことによって、大衆の日常生活をトータルにデザインすることを目的とした芸術家の実践を追体験します。
陶磁器におけるモダン・デザインの軌跡を検証しながら、芸術と産業の融合という、ロシア・アヴァンギャルドが挑んだ壮大な実験を再考します。