前田常作は、大正15年(1926)7月、富山県に生まれました。富山師範学校を卒業後、武蔵野美術学校に入学、近年は、武蔵野美術大学の学長、理事長に就任され、後進の育成にもあたっています。氏は、昭和32年の第1回国際青年美術家展で大賞を受賞されたのを契機に、パリに滞在、美術評論家のジェレンスキーにその作品が「マンダラ的」と評され、自らも意識的に「マンダラ」の探究に向かいました。
氏は、これまで、〈人間風景〉〈須弥山マンダラ図〉〈観想マンダラ図〉など一貫して、マンダラをめぐるシリーズ作品を制作し、現代人の心の世界に深い感動と共感を与えています。この展覧会は、「金剛界讃」「胎蔵界讃」「銀河瞑想」「天の浮舟」などの代表作のほか、近年、氏が精魂を傾けて制作してきたライフ・ワークの西国・坂東・秩父百観音〈札所巡礼シリーズ〉の全作品を一挙に公開いたします。(ちなみに、坂東三十三札所には、茨城県大子町の日輪寺、大和村の楽法寺、つくば市の大御堂、新治村の清瀧寺が含まれます。)
出品点数は、キャンヴァスに描いたアクリル絵画114点を予定しています。