寺山修司が去って20年、戯曲の再演や映画上演など多くの関連活動がなされ、新しい世代を中心とした寺山ファンは、今も増え続けています。寺山作品は、十代の思春期の感性に時代を越えて語り続けており、その作品の普遍性が新たな読者を獲得していくのです。
寺山修司は、30歳を前後する昭和40年から43年頃にかけて、世田谷・下馬に移り住みました。この時期、演劇実験室『天井棧敷』を設立し、次々に自らの劇団活動を展開していきます。そして、十代から二十代にかけての創作活動の基盤であった俳句や短歌、詩といった形式から抜け出し、長編小説や戯曲、評論など新たな執筆活動を交えながら、演劇や映画といった芸術ジャンルへと移行していくのです。
本展では、世田谷ゆかりの作家でもある中井英夫や、詩人の北園克衛とのかかわりを交えながら、東京では初出品となる高校時代の書簡(俳句誌「牧羊神」関連資料)も含め、彼の創作活動の原点ともいうべき初期時代である《文学者としての寺山修司》の側面をご紹介し、既存の俳句・短歌・詩の世界に与えた影響を約300点の資料で検証します。