歌手・女優として世界で活躍するジュディ・オング。もう一つ忘れてはならないのが、木版画家・ジュディ・オング倩玉としての活動です。幼いころから絵を描くのが大好きで、25歳の時に出会った井上勝江の木版画に魅了され、井上に師事して木版画を始め、そこでも才能を開花させます。彼女のテーマは一貫して日本家屋と花です。特に日本家屋は全国各地の旧家や神社仏閣を自ら取材して、印象深い構図と、木版画ならではの力強い線と、繊細な表現で日展の入選を重ね、2005年には特選を受賞するなど、輝かしい実績を残しています。古川美術館ではこれまでに3回にわたり、ジュディ・オング倩玉の木版画作品をご紹介してきました。4度目の開催となる今回は、日本家屋を題材とした初期作品から日展特選受賞作はじめ、最新作までを通して見える画業の充実、そして彼女が「人生において、いつもともにあった」と語る花の作品をご紹介します。そして直接の師である井上勝江の作品、そして井上の師匠・棟方志功の肉筆画と書も展示し、ジュディ作品の源流、師の系譜をご紹介します。志功の最後の愛弟子である井上の作品は、モダンな構図で、白黒の世界でありながら、色彩を感じさせ、初期のジュディ作品にも大きな影響を与えています。また、ジュディ・オング倩玉が所蔵する棟方志功の肉筆画(倭画)である「神・御説・蓬莱之図」は、『何でも鑑定団』(テレビ愛知の2/20放送)にも出品されたもので、鶴亀や松竹梅、龍など吉祥の象徴を画面いっぱいに描き、原色の絵の具を多用した鮮やかな色彩が目を引く逸品です。また、ジュディ氏が続けている日本介助犬協会のサポート大使としての活動や、介助犬協会のTシャツのイラスト原画も展示します。
本展では、木版画家ジュディ・オング倩玉だけでなく、素顔のジュディ・オングの魅力にも迫ります。