この度アート・遊では、現代のタイを代表する女性アーティスト、ピンナリー・サンピタックの個展を開催いたします。 ピンナリーの作品は、この十年来「女性の身体」を軸に展開されてきました。一児の母でもある彼女は、彼女自身の、そして女性一般のメタファーとして「乳房」のモチーフをとりわけ好んで用いており、近年ますます抽象化された乳房のフォルムは果実やストゥーパ(仏塔)、器や小舟といったイメージに次々と姿を転じながら見る者の想像力を掻き立てる豊かなイディオムを形成してきました。また昨年、一昨年とバンコクで開催された大規模な個展では、タイシルクや桑の葉の繊維、テラコッタやブロンズ等を用いたインスタレーションを展開し、これら多様な素材に対する鋭くしなやかな感性を示しています。 ??今回の展覧会では木炭に金箔や蝋を併用したドローイング作品を中心に、乳房の形状をした大型クッション状のオブジェ、オーストラリアでのレジデンスで制作された版画等も併せて展示いたします。本展は、筑波大学に留学するなど日本ともゆかりの深いピンナリー・サンピタックにとって日本での初個展となります。どうぞご期待ください。