ブリジット・ライリー(1931-)は、幾何学的パターンによって画面に動きをもたらす抽象絵画で知られるイギリスの芸術家です。美術大学を卒業後、ジョルジュ・スーラの影響を受けた風景画を描いていましたが、ルネサンス以降の巨匠や印象派の絵画、あるいは点描技法を研究し、単純化・抽象化のプロセスを学ぶことで創作を深めてゆきます。1960年代に入り、白と黒のみを用いた完全に抽象的な作品を発表すると、オプ・アートの旗手として一躍注目を集めました。1967年には、代表作となる波形のストライプ・パターンに色彩を導入した作品群を制作し、画面に強い揺らぎを感じさせるその独自の画風で、画家としての地位を確かなものとしました。以降、色と形の相互作用を駆使して、人々の眼に強く訴える作品を次々に展開し、現在も多くの人をその作品で魅了し続けています。
本展は、1960年代の黒と白の作品、1970年代を中心としたストライプ作品、1990年代の曲線をもちいた作品、そして近年のウォール・ペインティングを含む約30点を紹介し、あらためてライリー作品の魅力に迫る、わが国で38年ぶりとなる展覧会です。