古来より人は生活に必要な道具を作り、より使いやすいよう工夫し改良を重ねてきました。今では機械化やコンピューターの導入で高品質なものが大量生産可能になり、便利なものに囲まれて暮らしています。しかし、よりいっそうの利便性を求める一方で、手仕事で作り出される唯一無二の芸術性の高さと、機械化されたものにはない、味わい深い魅力を見出してもいます。それらの作品からあふれ出る、人間に具わった本来の能力の奥深さと、その能力に対する飽くなき挑戦、そしてあらゆるものへの創造性の豊かさに、感嘆せずにはいられません。
今展示では、館蔵品の中から生活道具としての目的を越え芸術品の域まで達した、江戸時代の肥前磁器、主に「伊万里焼」を対象に“工芸品としての技と美の結晶”という点に着目し企画いたしました。江戸時代に生まれ、人々を魅了し現代に伝世してきた、作品の数々をご堪能ください。