作品を作り始めた時のスピードは着地点に向かってすこしづつ遅くなっていく。
その地点を過ぎてしまえば、戻ることは容易ではない。かと言ってビビッてもいけない。
長沢は着地点に向かって正確に滑空し、その場所にふわっと降り立つ。
つい少しやり過ぎてしまいがちなのに、よくそこで終われるなと感心させられる。
飛び立つ前から、答えはどのくらい見えているのだろうか。
作品の表面は何気なく見せてはいるが、良く見るとそこにはやり取りの痕跡がある。
それは偶然性をも必然性に変えながら、ひとつの画面のなかで成り立っている。
今の年齢だから出来る作品たちで、まだまだ通過点に過ぎないが、過去の厚みが未来を感じさせる。