突き詰めるとよろこびがある―真島直子
真島直子(1944-)は、活動の初期から絵画作品とオブジェやインスタレーションによる立体作品の制作を行っており、1990年から始められた<地ごく楽>シリーズによって今日の日本を代表する作家のひとりとして認められるようになりました。2000年頃から始められた「鉛筆画」は、紙やキャンヴァスに鉛筆による細密描写を行うもので、デッサンや下絵としてではなく、自立した作品として制作されています。
真島の表現は、発生し死滅する人間を存在の根源的な様態において捉えようとするもので、白黒の鉛筆画と多色の立体はともにひとつの世界を表しています。野蛮さと繊細さをあわせ持つその表現は、私たちに私たちの本性と向き合うことを促します。「地ごく楽」は、「地獄」と「極楽」を一語にした作家の造語です。それは、作家の創作における境涯を表すとともに、私たちの「生」の状況を表します。
作家は近年、久しく制作を止めていた油彩画に取り組み、新たな展開を示し始めています。本展では、<地ごく楽>シリーズなどの代表作品に初期作品と油彩画の近作を加えて作家の創作の歩みを紹介します。本展は、名古屋市出身の作家にとって郷里で開催されるはじめての大規模個展となります。