狩野派(かのうは)は、室町時代に興った絵画の流派です。足利将軍の脚用を勤め、織田信長と豊臣秀吉にも愛され、さらに徳川家康により幕府御用絵師に取り立てられました。秩序を重んじる政権のもと、狩野派は江戸時代を通じて絵画の世界の頂点に立ち続けることになります。
狩野派の画壇制覇を支えたのは、過去の様々な絵画技術を統合したオールマイティな画風です。狩野派の基本は水墨ですが、中国人画家のスタイルにもとづく既存の水墨画風を整理し、平明な「型」を作りだしました。レパートリーの拡大を志してやまと絵の彩色法を取り入れ、さらに屏風における金の存在感を強化したのも狩野派です。
「墨と金」という萏葉によって象徴される狩野派の絵画の革新的かつ豊穣な美を感じ取っていただける機会といたします。