悠久のシルクロード、美しい日本の風景、そして仏教文化の足跡などを、入念な取材と壮大な構想力で描いた日本画壇を代表する作家 平山郁夫(1930-2009)。旧来の日本画の範疇に留まらない世界観を、静謐かつ幻想的に描き出した作品群は、今なお多くの人々の記憶に刻まれています。
そして、文化財保護の提唱・実践者としても広く知られ、ユネスコ親善大使を務めるなかで世界各地の文化遺産の保護に奔走。その活動はグローバルな共感を呼び起こしました。
世界各地を訪れ、テーマを追求し、その先々の多様な文化に触れ、理解し、人々との交流を重ねた平山氏にとって、創作活動と文化遺産の保護・継承は切り離すことのできないものでした。
本展では、この表裏一体ともいえる2つの活動に焦点をあて、ユーラシア各地をめぐり160回を超える取材の中で生み出された数々の作品、そして平山氏の文化遺産保護活動に基づく貴重なシルクロード美術を、「平山郁夫シルクロード美術館」のコレクションをもとに一堂に展示・紹介します。
重層的な歴史を紡ぐ遥かなる旅路シルクロード。平山郁夫が旅したその足跡を改めてたどりながら、その雄大な世界をご体感ください。