人間の顔や姿かたちは、これまで多くの芸術家によって表現されてきました。そこに、モデルの姿や作者の思いは、いかに描出されてきたのでしょうか。また、私たちはそこに何を見出せるのでしょうか。
コミュニケーションが重視される現代、私たちは他者との関わりの中で、様々な価値観に出会います。この出会いは、自己を省み、相手に思いを馳せ、そして広く人間のありようについて考える契機ともなり得ます。
美術作品に目を向けてみると、自画像や家族の肖像をはじめ、顔貌に注目したものや人間像を題材としたものは、芸術家がまさに“わたし”や“あなた”を見つめ、向き合ってきた軌跡と言えます。これらの作品は、人と人とのつながりの中でいかに生きるかを考えさせてくれるでしょう。本展では、近現代の人物画や立体作品、アフリカの仮面などにより、自己と他者をめぐる様々な表現をたどります。