本展は、明治から昭和にかけて京都で活躍した画家・図案家、神坂雪佳(1866-1942)の没後初の回顧展であり、アメリカ・バーミングハム美術館と協力し、国内外の所蔵作品約250点で構成されます。雪佳は、最初四条派の鈴木瑞彦に師事した後、東京に移っていた岸光景のもとで琳派を中心とした図案の研究を行いました。駐独公使や農商務省大臣を歴任した品川弥二郎との出会いや、欧州視察を通して工芸図案(デザイン)改革の必要性を感じた雪佳は、京都市立美術工芸学校の教諭を務める傍ら、佳美会(後に佳都美会、京都美術工芸会などと改称)などの工芸団体を主宰し、様々な工芸家達と新しい図案(デザイン)の在り方を追求し続けました。琳派を継承する画家として評価され、戦後数多くの作品が海外の所蔵家の手元にわたった雪佳ですが、本展では、彼の工芸図案家としての活動にも焦点をあて、絵画・工芸という両分野を自由に横断する雪佳芸術の全体像に迫ります。