小幡正雄への道
2012年の「赤鉛筆のアウトサイダー」(兵庫県立美術館)で小幡正雄と出会った。その時は私が今回の展覧会を手がけるとは思ってもみなかった。実現へ至るには二つの要因があった。一つ目は、尊敬してやまない東山嘉事さんが小幡正雄の才能を発見したこと。嘉事さんには展覧会、パフォーマンスなど様々にお世話になり、2006年12月に72才で亡くなられて、「追悼展~不無不夢寿限無経偈~」を開催。ギャラリーのパティオにあったオートバイと人間が合体したオブジェ「共存の哲学」が兵庫県立美術館に嫁入りし、「風刺とユーモア!カジさんのフムフム・ワールドへようこそ」が2008年11月から4か月間、同館の小企画展として開催された。その仲人を務めて下さったのが服部正さんだった。
二つ目としては私のアウトサイダー・アートへの偏愛がある。それは美術の世界で定義される教育や属性にまつわるものではなく、自立、固執、孤立といった「異端」であることにすぎないが、自らも因子として抱えているからだろう。小幡正雄の存在もInsideとOutsideを行き来しながら、その作品は嘉事さんの発見と服部さんの強い意志によってArt としてRescue されようとしている。そうした思いがこの場で結実してくれればうれしい。 島田 誠