土門拳は、その生涯に古代土偶から現代彫刻まで日本の彫刻を数多く撮影していますが、なかでも仏像彫刻の撮影は昭和14年、初めて奈良の室生寺を訪れて弘仁仏と出会って以来、約40年にわたっています。昭和54年~55年にそれまでの集大成として「日本の彫刻1,2,3」が出版されましたが、彼はその写真集1のあとがきの口述筆記を済ませた晩、三度目の脳出血に襲われ、以後11年間亡くなるまで意識不明が続きました。
今回の展示は、その「日本の彫刻」及び「古寺巡礼」の中から、土門拳が好きだった、飛鳥時代から鎌倉・南北朝時代の国宝、重文などを撮影した作品を中心にご紹介いたします。本展は、2000年~2001年にかけて、神戸、千葉などで開催された全国巡回展の作品をベースにしており、地元酒田では初公開の作品も多数展示いたします。モノクロの魅力をたっぷりご堪能ください。