日本画壇の巨星、日本美術院の理事長を永く務め、日本美術界のみならず世界の文化財保護に力を注いだ平山郁夫(1930-2009)。広島県に生まれ東京美術学校(東京藝術大学)を卒業。15歳の時の広島での被爆体験をもとに死と向き合いつつ描いた《仏教伝来》が再興院展で注目されて以降、日本文化の源流を求めてシルクロードを歩き出しました。文明が行き交っただけでなく、仏教が東漸(とうぜん)した道でもあるシルクロードの平山夫妻の旅は、1968(昭和43)年から始まり、以後40年に渡り続くこととなりました。
本展では、平山郁夫が描いたシルクロードの旅の足跡、バーミヤンの大石仏破壊前後の絵画や奈良・薬師寺玄奘三蔵院壁画大下図等絵画約40点に加え、妻の美知子氏と共に各国で収集した精緻で高価な金銀装身具などの工芸品とこの地域固有の貴重な織物など約170点を展示。夫妻の視点が織りなす、平山芸術とシルクロード文化の魅力を余すところなくご紹介いたします。