1953年に創刊された『週刊新潮』は、戦後の日本で創刊され現在まで続く、市民目線の総合ジャーナリズムです。その表紙絵を第1号から描いたのが谷内六郎(1921~81)であり、本展はその表紙原画を中心に、公開制作された大作《里の秋》や絵本『海と風船』の原画等、約80点を紹介するものです。
谷内の作品としては、「心のふるさと」と呼べるような、田舎ののどかな景色や、四季の移ろいを感じさせるものが著名です。しかし、26年間にわたって描かれた、1300点にのぼる『週刊新潮』の表紙絵を概観してみると、戦後復興期に変化を遂げる都市の様子や人々の暮らし、時事的な内容に即したものも多数あります。そうした作品を通して、在りし日の「昭和」を感じていただけたら幸いです。