私たちの身の回りには、自然が生み出した無限の色彩や、人間がデザインやファッションとして創り出した色を含め、膨大な数の色が存在しています。色彩は明暗や強弱などの効果を与えるほか、立体感や温感、手触りなどの感覚をはじめ、時には私たちの喜怒哀楽の感情に働きかけるような精神的な力を持っています。美術の世界においても色彩はとても重要な要素です。芸術家たちは色のイメージや組み合わせを独自の視点で捉え、作品の中で多彩に表現しました。今回の展覧会ではこうした色の特性に焦点を当て、呉市立美術館のコレクションの中から、主に「赤」「黄」「青」「緑」「白」「黒」の6色をキーワードに、それぞれの色調が印象的な作品を約30点ご紹介します。作品の形状や材質はさまざまですが、色を基準に構成された展示から美術と色彩の関係がより際立って感じられることでしょう。ぜひ自由な気持ちで「色」そのものを味わいながら、そこから広がるイメージの世界をお楽しみください。