安野光雅は1926(大正15)年、島根県津和野町に生まれました。画家に憧れて上京し、小学校で図画や工作を教えながら本の装丁や挿絵などを手がけた後、1968(昭和43)年に絵本『ふしぎなえ』を発表。知的なあそび心に満ちたその世界は大きな注目を集め、絵本作家としての第一歩を踏み出しました。
その後も『さかさま』『あいうえおの本』など、機知と想像力に富んだ「だまし絵」風の作品を相次いで制作する一方、1977(昭和52)年にはヨーロッパに取材した『旅の絵本』を刊行。繊細な線描と淡い水彩によって詩情豊かに表された風景画は幅広い人気を博し、現在まで続くライフワークとなりました。
本展では、デビュー作『ふしぎなえ』から近作『旅の絵本Ⅷ日本編』まで、安野光雅の50年にわたる多彩な仕事を130点の原画によってご紹介します。豊かな知識と好奇心から生み出される、空想とユーモアあふれる安野光雅の世界を、どうぞお楽しみ下さい。