大寺は3.11の震災以降,一極集中型社会の危うさを強く感じ取り,鹿児島(永吉)での暮らしの中で,「在宅勤務が一般的になりお父さんが地域に戻ること」と「虫自慢」が,多極分散型社会へ移行する鍵になると述べている。そして「イラストレーションを通じて何が出来るか?」というテーマを軸に,これからの在り方・生き方を創造しながら,最も大切なものは何かを考え続けている。
今回は,本展に併せて発売される初の書籍「大寺聡作品集」(フィルムアート社,2018)に収められた新作を含む作品を多角的に紹介し,あらゆるものに遊び心を加えポップに変換する大寺の現在を展観する。ポップカルチャーやイラストレーションをとおして幅広く俯瞰する作家の視点によって,鹿児島の未来が見えるかもしれない。