嘉永六年(1853)刊の評判記『江戸寿那古細撰記(えどすなごさいせんき)』の浮世絵師番付に「豊国にかほ(似顔)国芳むしや(武者) 広重めいしよ(名所)」と紹介されているように、この三人の浮世絵師はそれぞれ異なるジャンルの作品で高い人気を得ていました。本展では、その三代豊国、国芳、広重がそろって筆を寄せた東海道のシリーズ『雙筆五十三次』、『東海道五十三對』をご紹介します。これらは東海道を取り上げた作品でありながら、宿場やその周辺の風景ではなく、そこに残る伝説や関係する歴史上の人物などが描かれ、絵師それぞれの得意なジャンルをそのままに楽しむことができます。
江戸時代後期、浮世絵界で最大の規模を誇った歌川派の三人の人気絵師による東海道作品をお楽しみください。