この度碌山美術館では具象像に現われた作家独自の抽象性についての企画展を開催致します。
優れた彫刻家はモデルを前にした時、形象を視覚的に捉えると同時に、その感性から目には見えない内的構造や空間を把握します。そして、その作品には、作家独自の感性が形を伴って表れています。
彫刻に内部生命をもたらした荻原守衛。動くモデルが瞬間的に垣間見せる静寂さを捉えた戸張孤雁。厳密な写実に取り組んだことが、作品に揺るぎない構造性を与えたと感じられる中原悌二郎。喜多武四郎は空間を意識したデッサン力と芸術への純粋さによって、空間性と透明感を宿した作品を残しています。
このように彫刻家によって対象の捉え方や造形は多様であり、その造形は対象から抽出された美と捉えることができます。
本展では荻原守衛(碌山)と、その系譜に繋がる戸張孤雁、中原悌二郎、石井鶴三、喜多武四郎、基俊太郎の6名の作家を取り上げます。