平成27(2015)年7月、惜しまれながらこの世を去った立原位貫。ジャズのサックス奏者として活動していた立原は、25歳のとき、一枚の浮世絵に深い感銘を受け、江戸時代と同じ手法、絵の具、紙を独学で研究、再現し、それらを使って江戸時代の生き生きとした色彩を現代によみがえらせ、真の意味での浮世絵の復刻を成し遂げた唯一の画家です。また、オリジナルの創作版画では、詩情あふれる世界を作り上げ、夢枕獏や江國香織などの著作挿画も手掛けたことでも知られています。
本展では、没後3回忌を迎える節目の年として、津山市のM&Y記念館の充実した立原位貫コレクションの中から、復刻浮世絵版画、オリジナル版画、挿絵、版木などの資料100点余りを展示し、江戸の浮世絵に学んだ立原が私たちに伝えたかった「日本の木版画の美しさ」を改めて紹介します。