風が運ぶ、地球上のはるか遠くの場所からの伝言、はるか遠い昔からの伝言、大きな宇宙的な営みからの伝言、一輪の小さな草花からの伝言。ボクネンは、開かれた全身の感覚から無限に変化する風の伝言(イアイ)を感じて、出てくるものを彫刻刀一刀の切っ先で開き、感じるままに絵を掬い獲ります。
本展覧会では、作家活動30年の間に描いた木版画約2,300点の中から、代表的な大作(寸法:畳12枚分)、巡りめぐって循環する偉大で美しい珊瑚礁の海と生命の躍動を描いた「大礁円環」。立秋から大寒までの24節の恵の風の流れと生物の脈動感を表現した「節気慈風」。これら2点を含む約80点に及ぶ魅力あふれる作品をご高覧頂きたいと思います。そして、本展覧会を通し、地球上に存在するたくさんのいのちの息吹と躍動を感じ、自然の尊さを感ずる機会となることを切に願うところであります。