東アジアには、絵画や書と一体となって、作品を引き立て、かつ、保存に役立つ表装の文化があります。紙や絹を用いた作品を、表装により大切に守り美しく彩る営みは、日本においても古代に始まり、現在にいたるまで、独自の美と技術を育んできました。この展覧会では、その美しさと歩みをたどり、表装の技術と、技術の進歩を支えた修理をめぐる思想の到達点をご紹介します。
古来、日本では多くの絵画や書跡が、掛軸という独特の形で伝えられてきました。紙や絹など、薄く脆(もろ)い素材で作られた品々を鑑賞し保存するにあたって、掛軸は非常に便利な特徴を持っています。また掛軸の装いは、書画の印象を決める非常に重要な要素です。それは高い美意識と技術力に支えられた総合芸術であり、日本文化の極めて魅力的な部分を作り上げています。本会場では、古くから日本の社会に根付いてきた掛軸と表装文化のあり様を広くご紹介します。