20世紀の大阪では、前田藤四郎、泉茂、吉原英雄をはじめ多くの作家が優れた版画作品を生み出しました。1951年結成の前衛グループ「デモクラート美術家協会」は、大阪を根拠の一つとして版画に力を入れ、その発展に貢献しました。また1973年から91年にかけては、前田が版画に携わる作家たちを集めてグループ展「版画8」を開催するなど、版画に関する運動の舞台としても、大阪は重要な地でした。
「大阪版画百景」展は大阪府立江之子島文化芸術創造センターと大阪新美術館建設準備室の共同企画によるもので、大阪府と大阪市の所蔵品から、大阪を描いた風景や大阪出身の作家など、大阪にゆかりのあるものを中心に、20世紀以降の版画作品約140点と関連資料を展示します。現代版画コンク-ルや大阪トリエンナーレを通じて版画作品の収集を進めてきた大阪府と、2021年度の開館に向けて新しい美術館の整備を推進しており、版画のコレクションも充実する大阪市。大阪というまちが育んできた版画作品を府・市のコレクションによってご鑑賞いただき、版画家たちの豊かな活動に触れていただく機会となれば幸いです。