《名所江戸百景》を前期、後期の2期に分けて展示いたします。
《名所江戸百景》は広重が還暦を迎える直前から、62歳で突然この世を去るまでの2年半にわたって制作を続けた江戸の名所絵シリーズで、保永堂版《東海道五拾三次》と並ぶ広重の代表作です。広重描く118枚の絵に、目次と二代広重の絵1枚を加えた120枚からなる大シリーズで、ゴッホが模写したことで有名な「亀戸梅屋舗」や「大はしあたけの夕立」などもこのシリーズに含まれます。
広重は江戸市民が身近に訪れることのできる場所を、鮮やかな色彩で、季節感ゆたかに描きました。制作時は安政の大地震直後の幕末激動期でしたが、平穏な江戸の風景画描かれています。
このシリーズは竪の図柄の風景画で、近景を極端に拡大し遠景と対比させるなどの特徴ある構図も使われています。
広重が描く美しい江戸の名所をお楽しみください。