1920年代に多くの日本人画家がフランスへ留学し、大正期末頃にあいついで帰国しました。友情と情熱によって結ばれた前田寛治、里見勝蔵、木下孝則、佐伯祐三、小島善太郎ら5人は、1926年、留学の成果を披露する場として『1930年協会』を結成します。この名称はコロー、ルソー、ミレーらが結んだ1830年派の友情にちなんだものであり、新しい日本洋画を築くことを目標としていました。既存の美術団体の枠にはまらない団体であった彼らは4年という短期間に展覧会や講演会、執筆、後進への指導を積極的に行い、独立美術協会の発足に貢献しました。昭和初期の日本洋画界に新風を吹き込んだ彼らの功績は大変大きなものであったと言えるでしょう。
本展覧会では鳥取県立博物館と田辺市立美術館の協力のもと、前田寛治と佐伯祐三を中心に1930年協会のメンバーの作品をご紹介します。昭和初期に意気投合し、同じ志で新しい表現に挑戦した画家たちの姿をご覧いただければ幸いです。