暁斎は、風景画を極めるため、幕末に信州旅行へ出かけました。その様子を後に『暁斎画談』外編に描き、写生旅行の動機を「高く険しい峰々が晴れたり曇ったりする様子、奥深く静かな谷間に漂う雲や霧、また激流が音を立てて岩間を走り、滝が清らかな玉を吐くかのように流れ落ちる深い山の景色などをこの目で直に写生したい」と記しています。
また、明治18年には弟子のジョサイア・コンドルらと共に日光へ写生旅行に出かけ、数多くの写生図を描きました。
娘の暁翠は、静岡や奈良など暁斎よりも広範囲に旅行し、旅先での写生を残しています。
本展では、旅先で描いた写生図のほか、写生で培った風景描写を活かした名所絵や幕末・明治の江戸・東京を描いた版画もご覧いただきます。