自然や人をマジックなどでぐいぐいスケッチした珠子。そのスケッチに根ざして、画家の息づかいの宿ったダイナミックな日本画が生み出された。
北海道生まれの日本画の巨匠・片岡珠子(1905-2008)の魅力あふれるスケッチが初公開されたのは珠子100歳の時のこと。没後6年を経た2014年から2年にわたる全スケッチブック(約350冊)の調査を経て、本展では珠子の真摯な歩みを物語る初期から晩年までの膨大なスケッチを、関連する日本画約30点とともに展覧します。小学校教諭時代の教え子のスケッチ、59歳から一途に取り組んだ<富士>のスケッチ、さらに<面構>や<裸婦>連作のためのスケッチなど、内容は多彩。そこには、その時々の画家の眼ざしや造形的課題、そして息づかいまでがダイレクトに浮かびあがり、描くことの厳しさや喜びまで感じさせます。80年に及ぶ画業で独自のイメージを生み出しつづけた珠子の創造のひみつを本画とスケッチで探ります。