日本初の日本画家専門美術館として開館した山種美術館は、2016年(平成28)年に50周年を迎えました。開館50周年記念特別展の最後を飾る本展では、「京都編」に続き、「東京編」として東京画壇の日本画家の作品をご紹介します。近代日本美術史を語るうえで欠かせない名画ばかりを取り揃えた、まさに「日本画の教科書」とも呼べる展覧会です。激しい近代化の波が押し寄せた明治時代、画家たちは新しい日本画のあり方を求めて模索し、東京美術学校の岡倉天心(おかくらてんしん)による指導のもと、横山大観(よこやまたいかん)、菱田春草(ひしだしゅんそう)らが古典研究を重視しながらも、時代にふさわしい画題や表現を追求していきました。1898(明治31)年に創設された在野の美術団体・日本美術院は、安田靫彦(やすだゆきひこ)、奥村土牛(おくむらとぎゅう)など、数々の著名な画家を輩出しています。一方、1907年に初の官営の美術展覧会として始まった文展は、日本画の近代化の上で重要な役割を担い、帝展、戦後の日展へと継承され、川合玉堂(かわいぎょくどう)、東山魁夷(ひがしやまかいい)など多くの画家が活躍する舞台となっています。
本展では、歴史に名を刻む主要な日本画家の作品を一堂に展示いたします。美術の教科書に登場するような名品の数々と、当館創立者・山﨑種二(やまざきたねじ)と画家とのエピソードを交えながら紹介し、近代から現代にいたる東京画壇の歩みをご覧いただきます。