今年でデビュー20周年を迎えた、絵本作家・どいかや。代表作『チリとチリリ』(アリス館 2003年)は、現在6冊を数える人気シリーズとなりました。子どものみならず大人の心をもつかむのは、“森の中にわたしたちの知らない世界があるかもしれない”と、思うまま自由に描いた“チリとチリリ”の不思議な体験に想像力を掻き立てられるからでしょう。また、特有の色鉛筆や鉛筆を用いた手法の原点は、絵本作家育成講座「あとさき塾」の参加にあります。本展では、当時の初期作品はもちろん、デビュー作『チップとチョコのおでかけ』(文溪堂 1996年)に始まる他の人気シリーズや、水彩で描かれた詩情あふれる作品、フェルトを用いたシリーズなどとあわせて、「チリとチリリ」シリーズの原画全点を展示します。
最新作『ひまなこなべ』(あすなろ書房 2016年)に至る、精緻な描写と柔らかな色彩が魅力の約240点の原画を通して、絵本作家としての20年の軌跡、および、自然や動物たちの生命のあり方を大切に、緑豊かな山あいで猫たちと暮らす、どいかや自身の生きる姿勢にも迫ります。