大和、山城、備前、相州、美濃の五箇伝の名刀が一堂に!
旧福山藩主であった阿部家は、宝永7年(1710)に初代正邦が入封して以降、明治の廃藩置県に到るまでおよそ160年にわたって備後福山藩を統治し、幕末には老中首座・阿部正弘を輩出しました。同家伝来の刀剣の中には、現在国宝に指定される2口の名刀《太刀 銘定利》(東京国立博物館蔵)および《太刀 銘国行》(公益財団法人日本美術刀剣保存協会蔵)の存在が知られており、福山市市制施行100周年を記念してこれらを里帰りさせるものです。
《太刀 銘定利》は京鍛冶の名工綾小路定利の傑作として名高く、将軍徳川家綱が日光参詣の折に当時武蔵国岩槻城主であった阿部正春が拝領し、最後の藩主となった阿部正桓から明治天皇に献上された来歴があります。一方の《太刀 銘国行》は明治から昭和にかけて同家が所蔵したもので、大和当麻派の祖である国行の数少ない現存作例としても貴重な1口です。さらに今年、新たに小松コレクションに加えられた阿部家伝来の《刀 無銘伝長義》を福山で初公開します。
この阿部家ゆかりの名刀3口を中心として、本展では大和・美濃で制作された作品も含む五箇伝の名刀32口を展観します。