斉藤祝子から武満徹へのオマージュ展の話があったとき、二人の作品の響和性に惹かれ、尊敬してやまない武満徹没後20年でもあり心が躍り「ノーヴェンバー・ステップス」が鳴った。
斉藤の住むトロントと武満徹は深い縁がある。小澤征爾がトロント交響楽団の指揮をとっていたこともあり何度も招かれ、トロントと武満は相愛といってもいい。1996年2月20日に65才で亡くなった。「音 沈黙と測りあえるほどに」という武満徹の言葉は深く私の魂の奥まで浸透するほど響いてきた。
広大な原野、灯りの全くない天空に耳を澄ませば聴こえる微かな音がそこにある。世界には沈黙と無限の音がある。
その音を刻んで一つの音を得る。沈黙と測りあえるほどに強い音を。強い色を。 島田誠