◆作家のことば
実家の隣に川上澄生の友人塚田泰三郎氏が住んでいました。母によれば、よく塚田氏宅に遊びに来ていたようです。両親も版画が好きで、家の中に川上作品が数多く飾ってありました。
パイロットになり、知人が事故で亡くなっていく中で、何かを残そうと始めたのが版画でした。版画を作る目的、考えは、時を重ねるうちに変化しましたが、始めた頃は、他人に見せるためにではなく、自分の生き様を、何かの形で残したいと始めたのが版画でした。
夢、感動したこと、残しておきたい思い出など、好きな音楽の雰囲気を漂わせて、作品にしていました。
版画作りを続けて行く内に齋藤英夫氏との出会いがあり、齋藤氏の勧めで、日本板画院に挑戦し、初出品初入選が出来ました。その年から、版画を作る目的が少し変わりましたが、創作の基本は始めた頃と今も変わりません。長い版画創りの中で、沢山の人との出会いがありました。今日まで続けられたのは、その人たちの応援のお陰です。
今はその人たちにお礼と感謝の気持ちを込めて、これからも可能な限り、創作の世界へ挑戦していきたいと思っています。