“芸術の都”として世界中の人びとを魅了し続けてきたパリ。日本の画家たちも、19世紀末頃より留学先や制作旅行先として次々とパリを目指し、多くの名作が同地で生まれました。
関西在住のM氏は約30年間にわたり、パリを描いた日本人画家の作品を集め、珠玉のコレクションを形成されました。特別展「パリに生きる パリを描く」は、エコール・ド・パリを代表する藤田嗣治をはじめ、児島虎次郎、梅原龍三郎、安井曾太郎、小野竹喬、佐伯祐三、荻須高徳、小磯良平、鴨居玲など、パリに憧れ、パリに渡った洋画家たちの足跡と果たした役割を検証するもので、笠岡市立竹喬美術館、稲沢市荻須記念美術館、神戸市立小磯記念美術館の3館による共同企画です。神戸会場では、M氏秘蔵コレクション70点を中心に、3館の所蔵品を加えた計約100点の作品と資料を紹介します。
西洋と対峙しつつ模索を重ねてきた日本近代美術の流れの中で、個性豊かな日本人画家たちが、パリで描いた作品群を楽しんでいただくとともに、エトランゼとして異郷で奮闘した彼らの憧れと熱意をぜひ会場で感じていただければと思います。