このたび小金井市立はけの森美術館は、開館10周年を記念して「中村研一とその時代―笠間日動美術館のパレットコレクションより」展を開催いたします。
茨城県笠間市の笠間日動美術館は、東京銀座にある日動画廊の創業者である長谷川仁・林子夫妻が創設された美術館です。笠間日動美術館は画家のパレットのコレクションで名高く、350点を超えるコレクションは世界でも類を見ないものです。
画家にとってパレットは絵画を制作するためになくてはならない道具ですが、パレット自体がとても魅力的なものであることはいうまでもありません。パレットに残された絵具の配置や絵具の塊、筆使いの跡や、色を混ぜた痕跡…それらは画家の息遣いや制作過程を想像させます。また、パレットに描かれた様々な絵からは、画家の個性や、知られざるユニークな一面を見ることができます。
本展覧会では笠間日動美術館が所蔵する近代日本洋画の画家たちのパレットとともに、当館が所蔵する中村研一(1895-1967)や、中村と親交を結んでいた藤田嗣治(1886-1968)や辻永(1884-1974)といった画家たちの作品や書簡もあわせて展示します。パレットと絵画を通じて、画家たちが生きた時代の息吹を感じていただければ幸いです。