縄文に創造の原点をたずね, 青森の大地(EARTH)に根ざした新たなアート(ART)を探求する美術館の企画シリーズ「青森EARTH」。今年は「根と路」と題して, 三内丸山遺跡の縄文遺物, 郷土の探検家・政治家の笹森儀助(1845-1915)の軌跡, 現代アーティストの作品を通じて「存在と場所」の関係に迫る展覧会を開催する。
人は大地に「根」を張り生き, 旅という「路」を行く。人の営みに大地の振動を重ねてみる。人と大地の共振の夢想に現れるのは両者の間を流れる精霊の姿である。
大地を抱き, 大地に抱かれながらみる夢の中で私たちは気づくだろう。世界とは人と大地と精霊の交わりからなる「根と路」から生まれる無数の中心そのもの。世界の「根と路」を見出すことで私たちはどこにでも存在できること。そして自らの内に, 万物と共存し得る未踏の大地を宿していることを。
人と大地の「旅と土着」をめぐる想像力をもとに「存在と場所」の関係を問う本展は, 生と死, 夢と現実, 記憶と歴史を結び直し, あらゆる他者と存在し続けるための術 (アート) の可能性を提示する。本展をもって美術館は精霊の棲む洞窟や小屋, 「大切なものを貯め置く場所―ǰakka duxuni (ジャッカ・ドフニ)(*ウィルタ語)」となるだろう。