岩倉使節団は一八七三(明治六)年五月の約一ヵ月間、イタリア各地を訪問しました。すでに米・英・仏・独などの欧米各国を歴訪し、近代国家の仕組みや最新の技術を見学してきた彼らに、イタリアは驚きの印象を与えました。すなわち、西洋文明の源流がイタリアにあることを岩倉使節団は実感・認識したのです。
日本とイタリアとの交流はキリスト教の布教に端を発し、天正遣欧少年使節(一五八二年)や伊達政宗による慶長遣欧使節(一六一三年)などがよく知られています。近代以降も、ほぼ時を同じくして国家の統一を果たしたという共通点のもと、日本とイタリアは、文化や産業を中心に様々な分野で友好を深めてきました。その端緒のひとつとして岩倉使節団のイタリア訪問を挙げることができます。
日伊国交樹立一五〇周年を記念して行われる本展は、岩倉使節団のイタリア訪問をパネル展示のかたちで紹介するものです。