1950年代後半から今日まで、第一線を走り続ける写真家、篠山紀信。ヌードや都市風景、スターたちのポートレイトなど、次々と発表される写真は時に物議を醸し、彼の用いた「激写」は流行語にもなりました。驚異的なスピードとエネルギーで、テーマやジャンルだけでなく手法をも多彩に変化させながら、鋭い嗅覚で“いま”を撮り続けてきました。
その篠山が選んだ本展覧会のテーマは、ずばり、「アート」。新たに撮り下ろした当館コレクションのヘンリー・ムーアやカール・ミレス、ジュリアーノ・ヴァンジなど、野外彫刻の迫力ある写真が見る者に迫ってきます。篠山が正面から彫刻に挑んだ、まさに新境地の作品です。また、複数台のカメラを結合して撮影する篠山独特の手法「シノラマ」で撮影された写真を中心に、バルテュスや岡本太郎、草間彌生、森村泰昌など、これまで交流を重ねたアーティストやその仕事場の写真をダイナミックなスケールで展示します。これまであまり公開されることのなかった、篠山とアートの出合いを切り取った瞬間=“KISHIN meets ART”をお楽しみいただける内容となっております。