インテリアや建築の断片を構成して風景を作り出す谷山恭子。近年は歴史や生活、文化に踏み込んで、時には個人から物語を聞き取り、人々の記憶と場所が交差する「所在」として浮かび上がらせるアートプロジェクトやインスタレーション、パブリックアートを精力的に手がけています。
今回の公開制作に先立って谷山は、府中市の住民にインタビューを行い、また市内を探索して気になった風景を写真に収めています。ここには、谷山が感応した、どこか懐かしい色や造形、素材が散りばめられています。現在、作家は遠く離れたオランダにいて、府中の風景写真をトレースし、ドローイングを描きためています。
そして公開制作「なぜその風景が面白いのか」では、収集した建物や景観の部分を立体に作り直し、公開制作室の空間に置いていきます。くらしの中に隠れていた風景が、谷山恭子によって新たに生命を得ていくプロセスを、どうぞお楽しみください。