ブラジル写真界ではすでに高く評価されており, 重要な写真家の一人として位置づけられている大原治雄(1909-1999)。17歳(1927年)で神戸港からブラジルに移住した大原は, 南部パラナ州ロンドリーナで農園を経営しながら, アマチュアカメラマンとして写真を撮りつづけました。新天地で広大な農園を切り拓き, 家族や仲間たちとの農作業のかたわら, 身近な風景を柔らかな光をもって撮影しつづけた写真は, 過酷な労働を感じさせることはなく, 日常のささやかな喜び, 自然の美しさ, そして人間賛歌に満ちています。それは, 現代の私たちにとってもどこか懐かしく, 新鮮なみずみずしさを感じさせます。
本展は, ブラジル屈指の写真アーカイブス「モレイラ・サーレス財団」の大原コレクションから約180点のモノクローム写真を展示し, 日本ではまだ知られていない大原治雄の写真を, 関西で初めて大規模にご紹介するものです。ブラジルの大地で生きた日本人写真家・大原治雄という新しい発見に, ぜひお立ち会いください。