石黒宗麿 (いしぐろ むねまろ) (1893年~1968年)は、1955年に「鉄釉陶器 (てつゆうとうき)」の保持者 (ほじしゃ) として、富本憲吉 (とみもと けんきち)、濱田庄司 (はまだ しょうじ)、荒川豊蔵 (あらかわ とよぞう) らとともに、初めて重要無形文化財 (じゅうようむけいぶんかざい) (人間国宝 (にんげんこくほう))に認定された陶芸家です。
特定の師を持たなかった石黒は、ひとり東洋の美術史や陶磁史の古典に学びながら、陶芸や書画に気品ある独自の境地を切り開いた、近代的個人作家でした。とくに、卓越した技術に裏付けされたその陶芸作品には、過去の造形モチーフの再現性を追究するなかで獲得した、石黒自身の自由な精神と鋭い感性の洗練がみごとに表現されています。
本展は、最新の知見に基づく約20年ぶりの回顧展です。中国・宋代 (そうだい) の河南天目 (かなんてんもく) を進化させた鷓鴣斑 (しゃこはん) や、ペルシャ風の低火度色釉 (ていかどしきゆう) による彩瓷 (さいじ)、絵唐津 (えがらつ) など、モダニズムと自由な気分にあふれた陶芸124点と書画20点を新たな年代観のもとに紹介します。
※書画については、作品保護のために会期途中で展示替えをします。
前期:7月2日(土)~31日(日)、後期:8月1日(月)~28日(日)