日本画壇に数々の業績をのこした平山郁夫(1930-2009)。出世作の《仏教伝来》以来、仏教東漸の道と日本文化の源流を求めて40年以上にわたり、シルクロードへの取材を重ね、壮大なロマンに溢れる数多くの作品を描きました。
その一方で、戦乱や盗掘などで失われていく文化財を守るため、多くの人々に呼びかけ、敦煌 (とんこう) やアンコールワット、アフガニスタン、イラク、朝鮮半島などで文化財保護活動の先頭に立ってきました。しかし、シルクロード沿道諸国では、いまなお激しい紛争が続き、遺跡や文化財に対する破壊行為が行われています。
本企画では、あらためて平山郁夫の画業と文化遺産保護活動を振り返り、とりわけ、平山郁夫の若き日の軌跡に焦点をあて、自らの半生を絵にした自伝的素描シリーズ《道遙か》、初期の傑作《行七歩》や習作など約60点により、その足跡をたどります。