人は、子ども時代を過ごし、年を重ね、生きていく中で、人間や自然あるいはさまざまな事象に触れ、心を揺さぶられる体験をします。共通の体験は、互いを認め、理解することにつながるでしょう。一方で人と人との間には、さまざまな差や違いも存在します。それでも、違いを認め互いに理解し合う努力を続けることにより、共に生きていくことが可能になるのではないでしょうか。
本展では、「共生」をキーワードに、他者への想像力を表現の足場とする北海道の作家9名の作品をご紹介します。表現の手法はさまざまですが、他者への共感にもとづいて悲しみや喜びにそっと寄り添おうとする作品や、パーソナルな視覚体験をもとに普遍的イメージの創出を目指す作品、時間や空間の共有体験を作り出すような作品などを紹介します。それらはいずれも、作者自身の感情や思考、記憶から出発しながらも、他者の存在を念頭に置き、観る者の共感を呼び起こします。声高な主張ではありませんが、ともにいる、ともにあるというメッセージの存在は、私たちに前に進む勇気を与えてくれることでしょう。